矯正歯科とは
矯正歯科とは?目的と身体への影響
歯並びが気になりつつも、いま一歩治療に踏み出せない方も少なくないでしょう。矯正歯科は、歯並びを整えて見た目を改善することだけが目的ではありません。矯正治療の目的、歯列を矯正することで全身に与えられる影響についてご紹介いたします。矯正治療を受けようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
矯正歯科の目的
矯正治療は、お口の見た目改善だけでなく、全身の健康に関わる治療です。歯科矯正によって、良好な歯並びと噛み合わせを生涯にわたって維持していくことが大きな目的です。
お口の働きは、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、発音といった基本的な機能に伴って、表情を作ったり唾液を分泌したりと、心と体の健康にも関連があります。口内、ひいては全身の健康と特に繋がりがあるのが「噛み合わせ」です。すべての歯がきちんと噛みあい、食べ物をしっかりと噛んで飲みこめると胃腸への負担が軽減され、栄養の吸収が高まります。
また、噛む刺激が脳に伝達することで記憶力や集中力が高まり、認知症の予防にも繋がることが分かってきました。さらには、前後左右にバランスよく噛むことで、顔の筋肉が整って輪郭がスッキリしたり顔の歪みが解消したりします。もちろん、不揃いな歯列が綺麗に並ぶことで歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病の発生リスクも軽減できます。
不正咬合の悪影響
歯や顎、顔の形などが何らかの原因で発育や形態や機能面に問題を生じ、その結果正常な咬合機能を得られていない状態を「不正咬合」といいます。不正咬合には大きく分けて6つのタイプがあり、それぞれがどのような影響をもたらすのかと併せて紹介していますので、確認してみましょう。
不正咬合は顎関節の痛みや頭痛、肩こり、腰痛、姿勢など全身の機能にも関係しています。原因不明のこれらの症状にお悩みの方は、一度噛み合わせの改善をご検討されると良いかもしれません。
叢生(そうせい)
叢生とは、隣り合う歯が重なり、歯列がガタガタになっている状態のことを指し、八重歯も叢生の1種です。歯が重なり合っている部分に歯ブラシや歯間ブラシ届きにくく、汚れが上手く取り除けないため、虫歯や歯周病を引き起こすリスクがあります。顎の小さい方や、顎の大きさに対して歯が大きすぎる方は、叢生に悩むことが多いでしょう。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは、上顎の歯全体が前に出ていたり上の前歯が強く前に傾斜していたりする状態で、いわゆる出っ歯です。笑うと歯茎が目立ちやすかったり、前歯が傾斜しているために唇が閉じにくかったりするのも、上顎前突の特徴です。そのため口内が乾燥しやすく、虫歯や歯周病が発生しやすい口内環境になりがちです。
下顎前突
下顎前突は、下の歯が上の歯よりも前に出た反対咬合の状態を指しており、一般的に受け口と言われます。上下の歯がうまく噛みあわず物が噛みにくいほか、サ行やタ行の発音がしにくく聞き取りにくい喋り方になってしまうこともあります。また、顎がしゃくれてしまうこともあり、見た目にコンプレックスを抱く人も少なくありません。
開咬(かいこう)
奥歯を噛み合わせたときに、前歯が噛みあわずに開いてしまっている状態です。前歯が噛みあわないので物を噛み切ることができないほか、発音がしづらい、口が開きやすいため口内環境が悪くなりやすい、喉を痛めやすいという影響もあります。また、奥歯にばかり負荷がかかるため、折れたり割れたりするリスクが高まります。
過蓋咬合
上下の歯を噛み合わせたときに、上の歯が深く噛み込んでしまい、下の前歯がほとんど見えなくなる状態を過蓋咬合といいます。前歯にかかる噛む力が大きくなるため歯が摩耗しやすく、下の前歯が上の前歯を突き上げてしまうことで、過度な負荷に耐えられなくなった周囲の骨が吸収される場合もあります。
矯正治療の必要性
矯正治療は時間も、健康保険が適用されないため費用も掛かりますし、矯正治療に使う措置の見た目も気になります。しかし、矯正治療をせずに不揃いな歯並びでいると、綺麗な歯列を持つ方よりも口内トラブルが起こるリスクは高いままです。歯が虫歯になってしまうと、削って詰め物や被せ物を詰める必要があり、虫歯になる前の状態に戻ることは不可能です。
最近では、矯正装置もクリアタイプや歯の裏側に装着するタイプなど、目立たない矯正装置を採用している医院もあります。患者様のお口の状態や歯列の状態によっては適用できないこともありますので、歯科医師と相談しながら口内に合わせたものを選びましょう。