歯列矯正の流れ
知っておきたい歯列矯正の流れと治療期間
初めて歯列矯正を受ける患者様でも安心して治療を受けていただくために、一般的な治療の流れと治療期間についてご紹介いたします。初回のカウンセリングから治療終了までの流れを知れば、治療期間の長さにも納得して治療に取り組めるでしょう。
歯列矯正とは
歯列矯正は歯並びを整える処置を行いますが、それによって見た目の改善だけが利点ではありません。咀嚼(噛むこと)、嚥下(飲み込むこと)、発音などの、口腔の基本的な機能が改善を期待できるほか、口元の変化に伴って顔立ちや輪郭も変化することもあります。また、歯列矯正によって咬合の歪みも解消されることで、慢性的な頭痛や肩こりなどが改善することもあります。
つまり、歯列矯正とは口腔を中心とした機能と審美改善だけでなく、身体全体のバランスが改善されることで長年の悩みが解決したり機能が向上したりすることも期待できる治療であるといえます。
矯正治療の流れ
患者様の口内環境や歯並びによっても異なりますが、一般的な矯正治療の流れについて解説いたします。コンプレックスの解消や機能改善に役立つ矯正治療ですが、費用も時間もかかるものですから、治療前にしっかりとカウンセリングを行ってくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。
1 カウンセリング
矯正治療は、歯科医院でのカウンセリングから始まります。歯並びや咬み合わせのお悩みやご希望をお伺いし、考えられる治療法の特徴をご説明します。矯正治療のおおよその治療期間、費用の目安など、精密検査を行う前に分かることから簡単な治療の説明をいたします。矯正治療への不安を無くすためにも、歯や口元に関する悩みがあれば遠慮なく相談しましょう。
2 精密検査
患者様にあった治療法やより詳細な治療計画を立てるために、精密検査を行います。検査内容は、パノラマレントゲンやCT撮影、口腔内写真の撮影、顔貌写真などです。これらの検査を行うことで、歯の生えている角度や顎のズレ、何が問題なのかを診断します。精密な検査で得た資料をもとに治療計画を立てます。
また、矯正治療前に直しておくべき病はないか、歯茎の検査や虫歯のチェックなども行います。
3 治療計画の説明
精密検査の結果を患者さんに説明するため、再カウンセリングを行います。現在の歯の状態やあごの状態を説明し、具体的な治療方法を提案します。初回のカウンセリングではおおよそであった治療期間や費用も、この段階ではほぼ確定します。
治療内容や支払い方法に患者さんの同意を得られたら、いよいよ矯正治療のスタートです。ただし、精密検査で歯周病や虫歯が発見された場合は、矯正治療スタート前にしっかりと治す必要があります。
4 矯正治療開始
歯の表面に装置を装着したら矯正治療のスタートです。歯並びや治療法にもよりますが、約1ヶ月に1度のペースで来院し、歯の動きに合わせて装置を調整します。また、来院の度に口腔内写真を撮影し、歯の動きの記録を残します。
矯正装置により清掃が行いにくくなっているため、併せて「歯磨きがきちんとできているか」「虫歯は発生していないかな」ども同時にチェックし、必要に応じて歯磨きのレッスンや歯のクリーニングも行います。歯並びの調整を行いながら、同時に虫歯や歯周病の発生を防ぎます。
5 矯正装置を外す
歯並びが綺麗になったり、噛み合わせが整ったりしたことが確認できたら矯正装置を外します。装置を外したあとは、歯の表面に接着剤が残らないように丁寧に磨きます。
6 保定期間
矯正装置を外したら「リテーナー」と呼ばれる、後戻りを防ぐ保定装置を装着します。保定装置の形状は、取り外しができるタイプやマウスピースタイプ、固定式のタイプがあり、いずれの装置を使うかは歯並びや噛み合わせの状態によって異なります。
矯正装置を外して間もない時期は、原則ほぼ1日中つけっぱなしになりますが、就寝時のみ、週1~2日など、医師の指示のもと少しずつリテーナーを装着しない時間を伸ばしていきます。移動した歯が安定するまでリテーナーの装着を続け、最終的にはリテーナーからも卒業します。ここでサボってしまうと、せっかく移動した歯が後戻りしてしまって元の木阿弥になりますので、しっかり保定装置を装着するようにしましょう。
歯列矯正の期間
歯並びの状態にもよりますが、一般的な歯列矯正の治療期間は2年程度です。おおよその歯の移動や見た目の改善は6ヶ月から1年ほどの間に行われるため、治療を始めてから1年が経過する頃には見た目も変わっているでしょう。しかし、矯正治療は歯列だけでなく咬合調整や歯間の隙間調整に時間がかかることが多く、微調整に約1年かかります。もちろん、見た目にこだわればその分治療期間は延びます。
さらに、矯正装置を外しても治療は完全には終わらず、矯正のために移動した歯が後戻りしないようにリテーナー(保定装置)を装着します。移動した歯が馴染むまでには時間がかかるため、何もしないでいると元の位置に戻ろうとしてしまいますので、リテーナーで後戻りを防ぎます。口内の状態にもよりますが、リテーナーの装着期間は少なくとも2年以上で、定期的に口腔チェックを受けながら少しずつ着用時間を減らしていきます。リテーナーを止めるタイミングは、担当の歯科医師と相談しながら決めていきましょう。