矯正に適した年齢
キチンと知っておきたい歯科矯正と年齢の関係
「歯科矯正は子供や若い人が行う治療」と、歯列矯正を諦めている方は少なくないでしょう。しかし、それはあくまでもイメージであって、歯列矯正は健康な歯と顎の骨があれば、誰でも年齢に関係なく始められます。
子供から始める場合と大人から始める場合の歯列矯正の違いについて触れながら、矯正と年齢に関する疑問にお答えしています。ご自身、もしくはお子様の矯正治療をご検討中の方は、ぜひご一読ください。
歯科矯正に年齢制限はないのか?
矯正治療に年齢制限はありません。歯科矯正は、子供や学生など若い方が行うイメージがありますが、丈夫な歯と顎骨と歯肉があれば40代50代でも治療可能です。
ただし、大人の矯正には注意点があります。35歳以上の約8割は歯周病に罹患していると言われており、歯周病治療を行わないまま矯正治療を進めてしまうと、歯周病を悪化させる可能性があります。時間とお金をかけて矯正治療を行ったのに、歯周病の悪化によって歯が抜けてしまっては元も子もありません。歯周病のリスクを抱えている方は、矯正を始める前に完治させておきましょう。
また、子供や若い方と比べて、成人を何年も過ぎた方は骨が硬くなっているため、歯が動きにくかったり歯の移動に伴う痛みを感じやすかったりします。歯列矯正に年齢は関係ありませんが、気になったなら出来るだけ早く始めるに越したことはありません。
子供の歯科矯正
お子様に矯正治療を受けさせるべきか迷われていたり、お子様の歯並びが気になったりしている親御さんは多いと思います。その際に気になるのは矯正治療のタイミングです。お子様の矯正治療のベストタイミングは、不正咬合の種類や成長のスピード、歯の抜け替わりのタイミングなどによっても異なります。
もし「うちの子の歯並びが心配」とお悩みでしたら、一度歯科医院へご相談ください。矯正治療が必要か否かも含めて、お子様にとってどのタイミングがベストなのか教えてくれるでしょう。
2つのステージに分かれる子供の矯正治療
子供が矯正治療を受ける場合、第1期治療と第2期治療の2つのステージに分かれます。第1期治療で、ある程度骨格の問題がクリアになれば、その後は永久歯を正しい位置に並べる仕上げの治療として第2期治療に移行します。
- 第1期治療
思春期の成長が始まる前までの、5~10歳頃までの間に行います。この時期は顎の成長段階のため、お子様の成長に合わせて顎を理想的なラインに誘導できるので、歯を抜くことなく骨格のズレや歪みを無理なく改善できます。下顎前突(受け口)や上顎前突(出っ歯)など、骨格に問題があるお子様は、第1期治療期に矯正治療をスタートさせましょう。
- 第2期治療
永久歯が全て生え揃った段階からスタートします。第2期治療は骨格に問題が少ないお子様が対象となり、奥歯を後ろに移動させたり叢生(乱ぐい歯)を整えたりと、比較的短い矯正期間で済むこともあります。
大人の歯科矯正
矯正というと、成長途中である子供や若い人が行うというイメージですが、顎が成長しきっている大人でも正しい矯正治療を受けるときちんと効果が出ます。大人の歯科矯正のメリットとデメリットをご紹介します。抜歯や外科的な処置が必要であると診断された場合には、治療に伴うリスクを十分に理解してから治療をスタートさせる必要があります。
メリット
矯正治療は、見た目が整って美しくなるというメリット以外にも、さまざまな効果があります。特に重要なのが「噛み合わせの変化」です。しっかりと噛んで物を飲みこむことができれば、食べ物の消化吸収がスムーズに行われるので、消化器官への負担が軽減されます。また、左右の歯でバランスよく噛めるようになれば、顔や顎の筋肉の付き方が変化し、輪郭の歪みが改善したりリフトアップしたりすることもあります。
もちろん、歯並びが整うことで歯ブラシが届きやすく清掃が容易になりますので、虫歯や歯周病のリスクが抑えられ、口内環境が良い状態になりやすいです。滑舌が悪かった人も発音がクリアになるので、よく噛める口腔環境は心身共に良い影響を与えます。
デメリット
既に成長期が終わり顎の形が決まっている大人は、子供の矯正のように顎を理想的な形になるよう誘導することは難しいです。そのため、場合によっては抜歯が必要になる矯正治療の症例もあります。例えば、顎の小ささが原因で歯並びがガタガタしてしまっている場合、歯を綺麗に並べるスペースを作るために歯を抜いて、空いたところに重なって生えている歯を移動させる治療をすることになります。
また、あごの成長が過度に発達している上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)などは、場合によってはあごの骨を切削し整える外科処置を伴う場合もあります。大人は、子供よりも自由度が低いため、外科的処置が必要な治療法を取らざるを得ない可能性があります。